このテーマは重いなあ。
いえ、巨人・北大路魯山人を知り尽くし「何をどこまで深く記述すれば良いのか」なんて悩んでいるのではありません。逆に中途にしか知らないので、いい加減には書けないなと不安なのです。
9月の頭に市開催“芸術鑑賞講座”というのがあり、[北大路魯山人〜その生活と作品〜]という催しがあり参加しました。全2,000円会費で一回目は公民館での講座、2回目は貸し切りバスで茨城県笠間市の日動美術館へ行き、彼作の展示品を見学するというもの。自治体開催ならではの格安な情操学習です。
この魯山人という人物には昔から興味大でした。「食」に関係する仕事をしていると常に何処かで名前を耳にしますし、なんたって漫画[美味しんぼ]のモデルになったことでも有名です。
「なら著書とか伝記本でも買って読めばいいじゃん」
まあ確かにそうなんですが、なぜかそういうものから接したくなかったんです、彼には。偶然どこかで、いきなり出会うみたいな機会を待っていたのかも知れません。ルーシー・リーの青の陶器との出会いのように(ルーシー・リー展と国立新美術館…Vol.347)。
今回の旅では、私が一番知りたかった「彼はどこで料理と出会ったのか、なぜ美食を追求したのか」は不明なままでした。生い立ちと陶器への情熱などは知り得ましたが。妾の子で北大路姓が名乗れなかった、度重なる養子縁組、丁稚奉公、世界的大富豪ロックフェラーやピカソやシャガールとの交友関係。5度の結婚、5度の離婚。美食倶楽部や星岡茶寮の開業運営。人間国宝の辞退。北鎌倉7,000坪につくった窯や工人村・・・う〜ん、すごすぎる生き方です。
とくに語録「ピカソは絵が下手だ、色遣いがなってない…」とか「現代作家の饅頭の皮をつくるような 表皮の美術技巧に身をやつす輩は大きらいに候 中身の餡こそ芸術の本儀なれど これがてんで解からないで いい気になってろくでもない仕事に得意然たる輩…」、「西洋人や中国人が十の物をもって表現するところを 日本人は一で表現しようとする その思い切った省略の中に無限の美を味わおうとするのだ」などは、自信家の彼の傲岸不遜さの現れで、生きていたとしたら決して会いたくないタイプ(苦笑)。
掲載画像は住居にもした春風万里荘に残っている彼作の男性便器です。ちなみに、こういう男性便器のことを昔は[アサガオ]と呼んでいたんですよ。
2010.10.01 店長・上原
マカダミア専門ショップ“Macadamian Life”
http://www.macademia-nuts.com/http://store.yahoo.co.jp/macadamian-life/info@macademia-nuts.com